新国立美術館で開催中の「サルバドール・ダリ展」をみてきました。
20世紀美術のなかでも、
シュールレアリズムはむずかしいイメージがあり、
私にとっては敷居の高いジャンルです。
ですがそういうものこそ学びがあり、行ってよかったと思いました。
ダリは油彩が有名ですが
舞台・映画の美術装飾や、ジュエリーデザインなど
幅広い分野で商業的にも大成功を収めた画家だったことを、初めて知りました!
今回の展示でも、
ダリとウオルト・ディスニーがコラボした(!!)
「デスティーノ」という短編アニメーション映画や、
「不思議の国のアリス」の絵本の挿絵は
何度見ても見飽きず、まか不思議な世界観に引き込まれました。
ダリが強烈な個性をはなち、
人気があるのはなぜなんでしょう?
生涯の作品を見て、素人なりに考えてみるに、
自分らしい「アイコン」を持つ、
がキーワードかもしれないと思いました。
ダリといえば・・・
ぐにゃっと溶けたような形の懐中時計や鍵盤、
一方向から光があたったボール
釣鐘型をした女性のシルエット
そして、ポートレートの細いちょびヒゲ
などが思い浮かびます。
多くの作品に、しばしばこのようなモチーフが登場するので
「ダリの作品」とわかるわけです。
アイコンとはそうした、その人を表す記号やシンボルのようなもの。
それが強烈な画風や個性と結びつきます。
そしてファッションにも、
これと同じことが言えるのではないかしら?
と、ふと思いました。
私たちの周りの「個性のある人」を思い浮かべると
この人と言えばコレ!という象徴的なアイテムがありますよね。
蓮舫さんの白ジャケット、
グレースケリーのケリーバック、
オードリーヘップバーンのサブリナパンツ、などです。
自分を最も美しく見せるアイテムを絞込み、
ブレないことと、時代に合わせて進化すること、
その2つのバランスがいいのが、
「スタイルのある人」。
なぜそのようなことを考えたかというと
初期の頃のダリの作品に「模倣」に近いものが多かったからです。
ある作品は、ピカソのコラージュ、
ある作品は、印象派ジョルジュ・スーラの点描画と、
「これ、真似しすぎじゃありません?!」
と思えるほど、偉大な画家の作風をベースにした作品が多い。
ダリほどの画家でも、若いうちは有名な画家の真似をしながら
しだいに個性を確立していったのだなあ、ということがわかったからです。
ですから、ファッションもいきなり自己流なのではなくて
20代、30代は憧れる人や素敵な人を真似する時期
40代以降は、様々な経験や失敗をもとに
自分はこれだ!というアイコンを確立する時期なのかもしれません。
あなたは自分のアイコン、持っていますか?
「⚪︎⚪︎さんは、いつも素敵な帽子をかぶっているわね」
「⚪︎⚪︎さんと言えば、パンツスーツよね」
などなど。
トレンドを追うのも悪くはありませんが
様々な経験から、自分だけの「アイコン」を見つけることが
「個性をみつける」ということであり
「成熟」につながる道なのではないかしら?
そんなことを感じた展示会でした。
ダリ展は、12月12日までです。
火曜日は休館日ですので、ご注意くださいね。
0コメント